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Carrefour Saxophone Quartet  New Album

『Have You Heard ?』

1. First Circle

2.   Have You Heard

3.   The Bat

4.   For a Thousand Years

5. Prologue for The Way Up

6. The Way Up

7. In Her Family

8. The Epic

Plays Music of Pat Metheny

Member

 Soprano Sax 宮田 麻美
 Alt Sax 久保田麻里
 Tenor Sax 藤井政美
 Baritone Sax 前田悠貴

and Vocal. 因幡 由紀 Piano. Juan Ortis Durms. 山口圭一

メンバーによる楽曲解説


今回のアルバムは全編、ギタリストのパット・メセニーおよびライル・メイズとの共同名義の作曲による楽曲を集め、全曲カルフールSQのリーダー宮田麻美の手によるオリジナル・アレンジを施したサックス四重奏の演奏となっています。


パット・メセニーはアメリカの音楽家。

ジャズフィールドのみでなく、多くの音楽家に影響を与え、世界で最もクオリティと親しみやすさを両立させた音楽を提供しつづけています。


彼についてはこちらのWebサイト 
http://www.patmetheny.com/

および、ウィキペディアを是非ご参照ください。


以下楽曲解説に参考音源がYoutubeにあるものは紹介いたしましたが、出来る限り、Pat自身のCD、あるいはアルバムをご購入くださいますよう、あくまで参考であることをお断りしておきます。


1. First Circle 

パット・メセニー・グループのアルバム”First Circle”(1984年発表)より表題曲。
主に11拍子でできあがった印象的なリズムパターンと、冒頭の拍手により、珍しい聴衆が参加できる、一時期のライブのなかでも人気曲でした。


原曲では、ペドロ・アズナールの美しい歌声がメロディをヴォカリーズする、この時期のPMGのスタイルの代表的な方向性を凝縮した構成で、今回は因幡由紀のヴォーカルを加え、通常は冒頭の11拍子のパターンをグロッケン系の音色で行うものをヴォーカルにしてアレンジしております。


Keyも原曲のままで、女性で歌うにはかなりの難がありますが、素晴らしい仕上がりとしてくれました。


ソロは宮田麻美(Soprano)と藤井政美(Tenor)

冒頭のアンサンブル部分のみ前田悠貴がAltoを演奏しております。

○●●○●
○●●○●○●
○●●○●●
○●○●

この図の○がヴォーカルで冒頭にうたっているリズム。

●が拍手です。

ひとつが八分音符に相当、22個分で11拍です。

これを覚えていただいて、拍手をしていただけると、きっと楽しめることでしょう!

参考音源 https://www.youtube.com/watch?v=GrdbyCNJVKg



2.Have You Heard

同じくパット・メセニー・グループの1989年作品”Letter From Home”より一時期、ライブの冒頭はこの曲からスタートすることも多く、やはり人気曲。


メロディのリズム構成は変拍子が混ざっていて、ソロスペースはマイナー・ブルースのブリッジ有りのAABA構成の半音転調という内容。


このバンドではサクソフォンの響きの調和を考え、数度にわたる変更を経て、現在のKeyになっています。


サックス四重奏だけでグルーヴを出す、ということに挑戦していて、特にバリトンサックスの前田悠貴が大きなグルーヴを作り出していることが傾聴に値すると思っております。


ソロは久保田麻里(Alto)、宮田麻美(Soprano)、藤井政美(Tenor)

本来、クラシック出身のメンバーも、ジャズ・ポップスの語法を積極的に身につけ、素晴らしいソロフレーズを展開しているところも大きな聴きどころとなっております。


参考音源 https://www.youtube.com/watch?v=ppA9p6Rboqw


3. The Bat

”80/81”はパット・メセニー個人名義の2枚組アルバムで、1980年に発表され、ECMレコードのレコード番号の下二桁も80と81であったために、何かしらの暗喩として話題なったジャズ作品。


多くの音楽家に影響を与え、参加メンバーであるマイケル・ブレッカーにさえ、この作品を基準に自分のリーダー作品を作るという意欲ができた、と言わしめたほどの重要なアルバムなのです。


そのなかで、オーネット・コールマンバンドが好きという女性の友人に捧げられた曲がこのThe Batという一風変わった曲。


ここでは、コラール風の進行を使った編曲がなされ、幾分、原曲よりも荘重な趣がでているのです。


パット・メセニー・グループのアルバム”Offramp”でもThe Bat partⅡとしてアンビエントなアレンジで演奏されていますので、よろしければ比較して聴いていただけましたら、と思います。


参考音源 
https://www.youtube.com/watch?v=Gl6cOU_pf18

https://www.youtube.com/watch?v=yCxPL9P3dNQ



4. For a Thousand Years

”Sound of Summer Running” はベース奏者Marc Johnson の1998年発表の名作。
ビル・フリーゼルと共にダブル・ギターでパット・メセニーが参加しています。
その中で提供されたメセニーの楽曲がこのFor a Thousand Yearsで、カルフールSQではこれをThe Batと曲つなぎメドレーで編曲しております。


ソロは宮田麻美(Soprano)。

メロディのあとの部分で少し久保田麻里のAlto、そして後半に藤井政美のTenorがフィーチュアされています。


参考音源 
https://www.youtube.com/watch?v=OgC6aOfKGeA

46:55よりFor a Thousand Yearsです。


5. Prologue for The Way Up

Juan Ortiz はスペイン・バスクのビルバオ出身のジャズピアニスト。
現在、広島に在住していて、この録音の数ヶ月前に藤井政美が共演してから、是非今回のアルバムへの参加を御願いしてみました。


スタジオに入って、数テイクこのプロローグを即興で演奏。

深みのある美しい音色が、楽曲として調和と緊張を伴ってThe Way Upへといざなっていきます。


Juan Ortiz は現在、セカンドアルバムの制作中。詳細含め、彼の情報は以下よりどうぞ。ちなみに、ホァン、という読みがスペイン語に近いそうです。


Juan Ortiz Web 
http://www.juanortizmusic.com/#!inicio-japo-/c1sk9


6. The Way Up

現在、パット・メセニー・グループとしてはこのアルバム以降は活動を停止している2005年の大作”The Way Up”


スコアも出版され話題になりました。

50分近くにも及ぶ壮大な作品のメインとなるモチーフ部分を使用して、スティーブ・ライヒ的なミニマル手法を織り込んだパートをよりフォーカスしたアレンジに注目していただけましたら幸いです。


この曲のみ、宮田麻美はTenor を、藤井政美がSoprano を吹いております。

参考音源 https://www.youtube.com/watch?v=CZaZiH_mgoo



7. In Her Family

”First Circle”から続いて新しいパット・メセニー・グループの様式となったヴォカリーズ入りの楽曲が中心となり、多くのファンを獲得したアルバム”Still Life(Talking)”の終わりを飾る美しいメロディの楽曲。

冒頭のSoprano とAlto のDuet部分が印象的です。

参考音源 https://www.youtube.com/watch?v=C_6DAV0uxaQ



8. The Epic

”American Garage”から、いかにも80年代!というキャッチーな曲調のThe Epicをドラムスの山口圭一に加わってもらっての演奏。


カルフールSQのYoutube音源でも、広島のアンサンブル・コンサートでのライブ演奏がUPされておりますが、よろしければそちらもソロが違いますし、メンバーも少々異なりますので、どうぞ。


https://www.youtube.com/watch?v=XDcFIL5sb7w

久保田麻里のメロディの歌わせ方や、テンポの揺らぎなども楽しめる部分ですし、いわゆるクラシック系の演奏家が苦手とするグルーヴという感覚を表現している前田悠貴のバリトンの演奏にも注目していただけました幸いです。


ソロは藤井政美(Tenor)

そして、山口圭一(Drums)とのDuet部分もございます。


参考音源 
https://www.youtube.com/watch?v=FpfuTz0Ge84


以上、全曲がリーダー宮田麻美のオリジナルアレンジでございます。
今回のCDには当初、譜面をつけるという予定でしたが、版権者の許可が下りないとのことで、断念いたしました。


ですが、この楽曲を演奏したい、という方々からのご依頼は承っております。

通常の楽譜アレンジの料金に準じた額でお受けしておりますので、是非お気軽にご相談くださいませ。


                                     藤井政美

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